青銅鉢

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数学上の理論では線の美しさには等式が存在していて、最も美しい定理というものが今も探されているのだそうです。『比率が安定した美感を与える』という法則がおそらく自然に織り込まれていて、さまざまな物を目にする機会を得ても、美妙なバランスを保っていると感じられるものは思う程には見つかりません。長年蒐集に努めておられた目の利いたコレクターの方より、幸運にもお頒け頂くことができました。

托鉢用の金属器だと思いますが、薄作りで、このように線のきれいなものは初めて手にしました。球体状のフォルムのなかに影がすべっていて、緑青の淡緑色が一円に覆っています。僧が食物を受けるのに用いた丸い鉢を「鉄鉢」と呼称しますが、こちらは鉄ではなく、砂張のような合金かと思います。

花映りもよく、小振りな枝などよく似合います。

青銅鉢( 高麗時代 )外径 13.5 cm – 高さ 9.7 cm / 売約済み

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南方美術店

スリップウェア大皿 ( 深鉢 )

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催事を終えると、木や鉄や石の道具のようなものはひと通りなくなってしまって陶器屋さんになる。古い硝子のものが少し残って、何とか陶器一辺倒にならずに済んだことにはほっとしていますが、また好い物を蒐めなければならないということもこれからの愉しみでもあります。

スリップウェアに関して知っている事はあまり多くはないのですが、アメリカに渡った移民が“レッドウェア”なる軟陶を作っていて、石炭オーブンの中でパイを焼くなど、今にも砕けてしまいそうで、形として残っていることが不思議に思われます。小品好みで、大きな物を扱うことは少ないのですが、赤褐色の古色や、煤で黒くなった縁、使い込まれて縁にできた古い欠けなどもバランスがよく、大胆で、しっかりと飾って様になるものはなかなかないように思います。

表側は目立ちませんが、焼成時の縁の欠けから通ったヒビを補修した痕、底部にも同様の補修が見られます。

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スリップウェア大皿 深鉢 ( アメリカ 19世紀 )外径 33.8 cm – 高さ 6.8 cm / 売約済み

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青銅の分銅

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阿片の重さを量るために使われたオピウムウェイトと呼ばれる分銅です。鳥型は割合ありますが、これだけ出来の良い獅子の形のものは初めてです。近年は入手も難しくなりました。鉄ではなく、青銅を使った優れもので、雄勁な佇まいが目を惹きます。

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青銅の分銅 ( 18世紀 ) 幅 3.2 cm – 高さ 4.9 cm / 売約済み

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安南青花鳥文壺

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朱印船貿易以前に作られた古手の安南染付で、鶉のように小さく丸まった壺に花鳥の染付が描かれています。

書画をルーツにもつ所以からか、絵筆による薄い青一色の染付にも技巧のみならず文化としての聲がきこえる様で、灰色の胎に薄い白化粧を施した肌に長閑さを感じていますと、何処からともなく春の訪れを迎えたような心持ちになります。

海底の泥の中にあったことで美しい釉調を保つことのできたもので、当時の中でも出来の良い名品に属するものであったのではないでしょうか。安南古陶に関心のなかった方にもこれならばと親しみを感じて頂ける物のように思っています。

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安南草花鳥文小壺 ( 15 世紀頃 )外径 5 .5 cm – 高さ 5 cm / 売約済み

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古九谷香炉

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三つの画題(松、竹、梅)が文人の理想を描いたもの──とは何処かで読んだ覚えがあるものの、そうした型についてとんと関心を持てないために、時々に生ける花であったり、季節に応じて正面の向きを変える少しの所作の方についつい愉しみを覚えてしまいます。

南画など見ていると、人生のかなり深刻な問題を扱っているとは気づかれぬように、わざとどこにでもあるものを描いていると感じることもあって、何も始まらず、何も起こらない1日の憂いが、平凡な問題ながらに不安に満ちていることを、何とかおかしみにしようという試みもあろうかという気がします。

古九谷など手にするのは実のところ初めてで、香炉などは別段使わないのですが、そこに構図として描かれているものが清々しい。多色でも、金彩がよく残っているでもなく、色は剥落に傾いているのに、却って生彩豊かなものに映るのは日本人の美意識に拠るものでしょうか。その癖、寂しい感じがしないので、精神上のより重要な温かさが灯っているようにさえ感じられます。

火舎(ほや)と呼ばれる香炉の蓋は純銀のものが誂えられており、香炉とよく調和がとれています。縁に古い金繕いの他、疵が見られるのは少々惜しいところではありますが、未だ鑑賞の生命を保っていますので、長く手元に置いて愉しんでいただきたい物です。

古箱が付属します。

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古九谷香炉 ( 江戸前期 ) 外径 7.4 cm – 高さ 7 cm / 売約済み

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高麗箸

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箸が転んでも可笑しい年頃──などと云ったものですが、こちらは箸に惚れこみ、目の前に箸があるだけで転げるほどに愉快なのですから、なかなか困っています。

鎌倉の仏画や、室町の古画の剥落を見るように、古銅の緑青が雲煙に霞んだ竹林が一段と深い緑に見えるごとく呈しています。この四角柱、六角柱のひとすじの線が、どのような彫刻も及ばぬ線の美しさを持っていると自分だけが気付いたように喜んでいるのですが、高麗箸を火箸に使うという話を訊いたこともあったように思うので、古くから評価を受けている物なのかもしれません。もし使い途がなかったとしても何かのよすがとなりそうで、二月堂机の机右に置いてじっくりと眺めて暮らしたいような、どうも人には伝わりにくそうな呑気な空想に耽っています。

土の付着したものは四角柱、もう一方は六角柱で一端に装飾が見られます。金閣、銀閣などと言って2つを較べていましたが、色の出方では前者、線の美しさでは後者に軍配が上がるものと思います。

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高麗箸(朝鮮高麗時代)長さ 26 cm 、22.5 cm / 売約済み

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古染付双鶏文皿

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染付けのご紹介が続きますが、こちらも粋な文様の器です。茶人の趣味に応じて注文を受けて作られた古染付ですが、闘鶏図でもあまり雄々しくないのがいい。風雅という言葉を用いてよいか判りませんが、名調子などと云ってはつまらない。紙に筆で描いた絵画よりも、陶磁器ならではの呼吸を備えたところを見て頂きたい器です。

薄いニュウの他、円周縁部に僅かにノミホツが見られます。古染付特有の虫食い(虫食いのように見える小さなピンホール状の釉薬の剥離)が見られますが、全体に好い状態を保っています。

5月発売 和樂(6月号)に、こちらの古染付双鶏文皿を掲載して頂きました。
どうぞ書店にてご覧下さい。

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古染付双鶏文皿(明末時代-清朝時代初期)外径 16 cm – 高さ 2.7 cm / 売約済み

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砂張鋺

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朝鮮高麗時代の砂張(さはり)と呼ばれる金属で、水や酒を盛った鋺(まがり)と呼ばれる器と思われます。手の平に収まる薄造りの椀は大変珍しい。緑青に覆われた風格のある姿は仏具の趣きではありますが、“コロン”とした姿形に和みどころを見出すと、深みを保ちながらも落ち着いて上品なさまが感じられてくる不思議な魅力を備えた椀です。

見立ての花器やオブジェとしてもモダンで力強いものですが、永く手にして頂くことで一層気に入って頂ける物と思います。

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砂張鋺( 朝鮮高麗時代 ) 径 8 cm – 高さ 3.8 cm / 売約済み

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ローマングラス《碗》

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川瀬敏郎さんの 『一日一花』 でも雪餅草などを生けて使われているローマングラス碗。こちらはシリア出土のローマングラス碗で、銀化した多彩な硝子の碗というのは初めて知る美しさです。色よりも姿に重点を置いて、『碗』という形に魅了されてしまった。ボードレールの云う《思いがけない美しさ》というものかもしれない。

「碧」という文字は(みどり、あお、あおい)などと読めて、あおと読めば青寄りに、「みどり」と読めば緑寄りに強調される不思議な言葉らしいのですが、この碧色は硝子の不純物による緑寄りの碧。銀化した膜がガラスに貼り付いて、剥落した箇所と光彩の残った箇所とが併存した美妙なバランス。器内部の土汚れは定着していますが、手で触れると膜と共に剥落し易いものですので、そのままの状態にしてあります。目視での状態確認が難しいものですが、ガラス内部にヒビや欠けなども見られず、状態の良いものと見えます。

夏の涼や、冬の気持ちに沿う花入れとしてもお愉しみ下さい。

合箱が付属します。

川瀬敏郎さんの 『一日一花』 は こちら から

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ローマングラス《碗》(シリア出土)外径 7.8 cm – 高さ 7.3 cm / 売約済み

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安南 青磁茶碗

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『時間割』を書いたビュトールによれば、「日本は雨が美しい国」らしい。

陶器の表面に出たシミを「雨漏りをしたような景色」と評した古人の感性の言葉は、雨の美しい国で育った日本人に備わった美意識なのかもしれません。

この安南(ベトナム古陶)の茶碗は釉薬の表面のヒビ(貫入)や、針の穴のように小さな穴(ピンホール)から外に通ったシミが青磁の器を淡い緋色に染めていて、『雨漏り手』と呼んでよいかと思います。青磁の雨漏りは特に好きな雨漏り手の1つですが、琉球のマカイにも似た安南の器のかたちは李朝の半陶半磁の青磁にはない『陶器』だからこその魅力があって、重さといい、手触りといい、この違いをしっかりと感じると、古陶の魅力というものに一段深くハマるだろうと思います。

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安南 青磁茶碗(ベトナム19世紀)口径 12.5 cm – 高さ 6.3 cm / 売約済み

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