鹿のブロンズ像

ブロンズというのは面心立方格子という構造の銅合金で、元素である銅を用いて紀元前から精錬されていた金属らしいのですが、銅は元々中性子星の衝突によって生まれるので"地球のものではない"という話は面白いと思う。"人類が登場したのはおよそ百万年前、言語をもたない猿が木から降りてきて、周囲をみまわし、いったい自分はここでなにをしているのだろうと考えこんだときだった"。ここから人類が銅を発見し精錬し芸術を作るまでの過程を、現代のほんの一瞬が判断するのは難しい。

近代美術の作品を扱うことは余りありませんが、動物をモチーフとした作品にありがちな甘さがなくて、胴のふくらみやその像容に強く惹かれるところがあります。イタリア・アレッツォにて求めたという話からはフランス系の両親のもとにイタリアに生まれた──というような複雑な話があるかもしれませんが、在銘の"ビニャン( R.bignan )"はフランスにある姓のようです。

石膏取りと思われ内部は空洞です。目立つ損傷はなく好い状態を保っています。

鹿のブロンズ像( 推定19世紀中葉 )w 12.8 cm – d 5.5 cm – h 8.6 cm / 価格はお問い合わせ下さい