ローマングラス玉状水注

古来から瑠璃と呼んで好まれたラピスラズリの色にはその原石を見ると様々な色相があるように思えますが、中には"瑠璃"と云うには辻褄を合わせたような何かを欠いた色もあり、ローマングラスではいつ以来かと惚れ込んでいます。

青色の有色ガラスでもコバルトに酸化銅を加えて発色させた瑠璃色のようで、素軽いガラスの器体全体が青に美しく染められています。常から瑠璃と呼んで尊重している色についてあまり深く考えずにいたところに唐突に滑り込んできたものという印象ですが、ギリシア陶器を範型とした三つ葉形の注ぎ口も形状の魅力です。

器体は破損した状態で三々五々に出土したと思われ、繋ぎ目が広範囲に見られます。一部呼び継ぎによって補完された箇所があるのは惜しまれますが、鑑賞性は未だ失っていないと感じます。その他、薄い銀化と結晶化したカルシウムの成分による白い付着物があります。

ローマングラス玉状水注 / 御売約
東地中海沿岸部 紀元 1 – 2 世紀
⌀ 4 cm – H 4.5 cm