藤原盆

夏の虫が葉のへりをかじり、きれいな半円形を作っている間、なにか別のことにかかずらっていると、訳もなくふた月も経ってしまう。日に一本限りの列車を待つように随分待って、もう落葉がくるぶしまで積もっているかと思う頃に好きな物が見つかる。そうやって手にした物がどれほどの物かと問われては、せいぜい夏の虫の食った葉のようなものなのですが、最近、その小さな隙間くらいのことに興味が向きます。

藤原盆と云うと人の名と思われそうですが、群馬・藤原を産地とした生活用具の漆盆です。丸盆や扇の形をした朱漆の物は見かけますが、黒漆の四方盆と云うのは稀かと思います。鑿( のみ )による簡単な模様も粗削りな分、手触りまで目に映る感じがされます。酒器や敷台にと使いながら手元に置いてみると良い物だと云う事がしみじみ感じられそうで、一つ二つと酒器を盆上に並べてみてもよく応えてくれる感じがあります。

若干の反りと角の欠けは見られますが、坐りも安定していますので実用性も申し分ありません。( こちらは10月催事用に取り置いている品のため、それ迄ご注文頂けません。ご了承下さい。)

藤原盆 ( 明治頃 )37 cm

南方美術店 ( 12:30 – 19:00 )
世田谷・
二子玉川駅より徒歩11分 / 用賀駅10分