古代の硝子は形のための形ではないような気がする。用途よりも精神や理想が大切にされ、それが結晶のように形となって偶然に顕われたものと云っては気障っぽいのですが、吹き硝子の発明とともに産業化したローマングラスにも、まだ偶然の形は保たれているように思えるのです。
硝子はそれ自体で多く自然に存在しているものではないから、白砂や珪石を使って人の手に依って硝子になる。そこに色や形が加わって現存した物の中から、銀化の美しいものや、色の美しいもの、用を成すものにより分けられて尊ばれてきた。
この硝子の場合、胴部に空いた穴も、ヒビの通った肌も、損傷には違いないのですが、この硝子そのもので、他に成りたちようもなく、自然に存在しているように思われます。
他に四点のローマングラスが入荷しています。
ローマングラス注器 (紀元3-4世紀) 外形 7 cm – 高さ 8.8 cm / 売約済み
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