不幸な家族

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『不幸な家族』という三号ほどの油絵が店にあるのですが、これが筋を考えるとなかなか難しい。

昼間なのか、真夜中なのかも区別がつかない草原に、靴を埋めて立っている家族の絵。陰惨だ──とまで云わなくとも、絵のモチーフを観れば暗いというのは当てはまる。無口が思慮深いといって尊ぶような時代ではないから、観る人は可憐なところもなくて、無表情の顔のふしぎさが、うす気味悪いと云ってぎょっとするかもしれない。

そういう特殊な匂いを、とらえがたい現象を写したものと評価するのか、目をふさぐかは人それぞれに任されているけれども、作家の記憶の奥に投げ込まれて遠くの夢をぼんやり眺めているような心持ちと、こしらえものの登場人物のような淡さも、技巧でつくったようなあざやかさもない、写実的な生々しさを同時に感じて、おぼろげながら合点がいくのは、これが画家自身を描いた作品であるということだけでなのです。

同質なものに反撥する気持ちも、異質なものについてゆこうとする気持ちも、画面からはまだ感じたことはない。『不幸な家族』という表題にインパクトがあり過ぎるせいで、絵を見抜こうという魂胆が働かないでもないけれど、あっと言わせるのではなくて、今さらのようにその存在に気づくものを素直に描いただけなのかもしれないとも思う。素直といっても、百姓の素直なんかじゃないのですが。少なくとも、そういう目を端っこに持って眺めると、温かさを感ずることさえ出来る。その温かさも、充分に暗いところに灯るあかりの美しさみたいなもので、怖いと思えばいつまでも安らがないようなほのかな温かさであって、甘美ばかりを抒情と思って眺める人には縁のない温かさ。

店内に額に入って飾ってありますので、ご覧になりたい方は御足労ですが当店までお越し下さい。

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油彩画 『 不幸な家族 』 / 売約済み

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